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 札幌市は北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック招致へ向け、開催の意義や開催計画、大会運営見直し案の中間報告の内容を市民の皆様へ説明するとともに、不安や懸念、様々なご意見をお聞きする「オープンハウス」と「説明会」を組み合わせた市民対話事業を7月29日(土)~9月9日(土)の期間内で実施することを決定。7月29日(土)に札幌市白石区にある商業施設「ラソラ札幌」で第1回目となる「オープンハウス」と「説明会」を開催しました。



オープンハウスでは大会招致に関するパネルを展示

 

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 期間中、各会場に設けられる「オープンハウス」では大会招致に関するパネル展示により情報提供を行うほか、市職員が市民の皆様からのご意見やご質問を伺い、対話を通じて不安や疑問等にお答えします。第1回目の開催会場となったラソラ札幌でも、北海道・札幌2030冬季大会招致活動のこれまでのあゆみ、開催意義、招致プロセス、招致スローガン・3つのコンセプト、競技計画、大会経費、大会の効果(スポーツ・健康、経済・まちづくり、社会、環境)について、図表やイラストなどを用いて分かりやすく説明するパネルを展示。このほか、東京2020大会で起きた一連の問題を受けて北海道・札幌2030冬季大会における運営見直し案を説明するパネルも展示されました。また、大会の効果や競技計画に関するクイズラリーも設けられ、会場に訪れた親子がいっしょにクイズを楽しみながら、札幌へのオリンピック・パラリンピック招致について理解を深めている姿も見られました。


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 また、オープンハウスには札幌市からのパネル説明だけではなく、市民の皆様からのご意見やご質問、不安や疑問等を直接お伺いしたいという思いから、自由に意見を付箋に書いて貼ることができる「ご意見募集ボード」も設置。大会招致に関するパネル展示をご覧いただいた市民の皆様からは賛否含めてさまざまなご意見をいただきました。


 この日、来場いただいた方々に大会招致活動についてのご意見をお伺いしたところ、白石区にお住まいの男性は「経済効果が期待できるから開催して欲しい。例えば、この大会で使用を予定している施設はすべて既存。施設のメンテナンスやリニューアルに税金が投じられるが、既に老朽化が進んでいるため、オリンピック開催の有無に関わらず発生する費用だから無駄ではなく、オリンピックが開催されるからお金がかかるわけじゃない。それを理解してもらう必要がある。自身もカーリングを趣味でやっていて、子どもたちがやっているのを見ている。子どもたちに大会を見てほしいし、1972年大会の時は自分はまだ2歳で覚えていない。本物を見てみたい」という感想をいただいた一方で、東京2020大会での事件にも触れ「談合など不安にさせていることへの対策への取り組みはしっかりやる必要がある」というご意見をいただきました。

 

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 また、お二人のお子さんと一緒に来場された南区在住の男性からは「せっかく開催するなら子どもに優しい大会を開催してほしい。改修する施設は大会後も子どもたちが楽しめ、活躍できる施設にしてほしい。また、札幌に国内外から人が集まり賑わって楽しめると思いますし、2030年には子どもたちも小学生になるので経験させてあげたい」、同じくお二人のお子さんと一緒にパネルなどを見学いただいた男性からは「オープンハウスをやっていることを知らなくてたまたま通りかかったが、こうしてオリンピック・パラリンピックのことを知ることができて、子どもも興味を持つと思うし、それについて親子で話す機会にもなるので、良い試みだと思う」と、大会招致やオープンハウスについてのご意見をそれぞれいただきました。



説明会で市民と直接意見を交換


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 大会招致に向けた市民対話事業ではオープンハウスと合わせて、市職員から大会招致についての説明と、市民の皆様からの質問にお答えする説明会も開催。札幌市スポーツ局の担当者は招致活動の経過、開催地決定プロセス、大会がもたらすまちの未来(レガシー)のほか、開催経費と財政負担について原則として税金は投入しないことや収入に見合った効率的な大会運営を行っていくこと、また、経済波及効果により招致決定から大会後10年間で札幌市の税収が約250億円増加し市民サービスの維持・向上が見込まれること、大会運営に係る見直し案の中間報告などを説明しました。そして、その後の質疑応答の時間では、市民の皆様から施設整備や経済効果、環境、見直し案などについて様々なご意見をいただき、市の担当者と熱心な意見交換を行いました。


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 なお、第1回目となったこの日のオープンハウス、説明会には市民の皆様のほか、数多くのメディアも取材で来場し、北海道・札幌2030大会招致活動への注目度の高さがうかがえました。



「札幌のアイデンティティを若い世代に伝えることは大きな使命」

 

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 オープンハウスならびに説明会終了後、札幌市スポーツ局招致推進部渉外担当の奥村彰大部長に、この日からスタートした市民対話事業について伺いました。この市民対話事業は札幌市としても新しい取り組みの一つであり、「大会招致を進めていくためには市民の皆様の理解、そして支持が不可欠。これが一番大事だと思っています」と奥村部長。この取り組みを通じて、市民の皆様がどのような思い・不安・懸念を持たれているかを肌で感じ、それをしっかり共有・自覚して、招致活動に携わるスタッフ一人ひとりが真剣に向き合うことが大事であるとも述べました。そして、奥村部長はじめ招致活動スタッフの思いとして共通しているのは「オリンピック・パラリンピックは札幌、北海道を飛躍させる大きなきっかけになると確信している」ということ。今後、市民対話事業を進めていく中で、この強い思いを持って市民の皆様と向き合っていきたいと語りました。


 また、昨年に市制100周年を迎えた札幌市は、毎年5mもの雪が積もる地域ながら190万もの人々が生活している大都市。このような都市は歴史的、世界的にも珍しく、また、札幌で暮らす人々にとってウインタースポーツは「我々の生活・文化そのもの。札幌のアイデンティティのようなものであるとも思います」と奥村部長は強調します。そして、アジアで初めて冬季オリンピックが開催された札幌1972大会から50年が経ったことも踏まえて、奥村部長は「オリンピック・パラリンピックを通じて、札幌のアイデンティティを若い世代、子どもたちに伝えていくことは我々の一つの大きな使命だと思っています」と大会招致への思いを述べました。