冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致期成会の総決起集会が27日、札幌市内で開かれました。


 はじめに冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致期成会の勝木紀昭副会長・実行委員長が挨拶に立ち、「1972年冬季札幌オリンピックでは札幌の街なみやインフラが飛躍的に向上しました。現在これらが更新時期を迎えているところでありますが、これからの街づくりにおいては多様な人々が、より便利に暮らしていけるようなやさしい街づくりが必要です。北海道・札幌が今後も元気な街に発展していく。若い人たちが夢と希望を持ってこの街を背負って立ってもらう。これらの事からも2030オリパラ招致は絶対に必要でございます。このムーブメントを地元から全国に広め、招致の実現に繋げて参りたいと考えております。スポーツが与える素晴らしさ、感動でこの街をもっと素晴らしい街にしていきましょう」と呼びかけました。


冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致期成会 勝木紀昭副会長・実行委員長 (写真:アフロスポーツ)



小林陵侑選手らによるトークセッション


 次に、北京2022冬季オリンピックのスキージャンプ男子ノーマルヒル個人で金メダルを獲得した小林陵侑選手、日本パラスポーツ協会評議員の荒井秀樹さん、札幌大学客員教授の中田美知子さんによるトークセッションが行われました。


「自国開催の意義・意味」「自国開催に望むもの」というトークテーマのもと、東京2020大会が自分自身にとって大きな刺激になったという小林選手は「良いモチベーションになりました。自分も自国開催のオリンピックに出てみたいと思いましたし、冬も日本で開催されたらどれだけ盛り上がるのだろうと、ワクワクしながら見ていました」と、当時の気持ちを振り返りました。そして、札幌2030大会開催を思い描きながら「僕たちがそうであったように、競技を見て自分たちもやってみたいと思ってもらえたり、その競技が盛り上がるような大会になればいいなと思います。長野オリンピックのジャンプが『伝説の試合』として今でも語り継がれているので、札幌でもそういうものを作れたらいいですね」と意欲を語りました。


小林陵侑選手 (写真:アフロスポーツ)


 一方、パラスポーツの立場から、ノルディックスキー日本代表ヘッドコーチとして1998年長野パラリンピックに参加した荒井さんは当時を振り返り、「長野大会を通じて社会のいろいろな仕組みが変わりました」と、大会がもたらした社会変革についてコメント。続けて、東京2020大会で小学生が育てたアサガオが会場を彩ったこと、さらに現在札幌市が取り組んでいるシットスキーの体験会や障がいのある児童にもスキーを楽しんでもらうために学校へ用具を貸し出していることを紹介し、「自国開催で一番大切なことはそうした草の根的な活動が芽生えてくることだと思います」と、オリンピック・パラリンピック開催をきっかけにより良い社会・街づくりが一層進むことに期待の言葉を寄せました。特にシットスキーについては小林選手も「この取り組みは初めて知りました。ぜひ僕もシットスキーをやってみたい」と大きな興味を持った様子でした。


日本パラスポーツ協会荒井秀樹評議員 (写真:アフロスポーツ)


 また、スポーツを見る・支える立場から中田さんは「やはりボランティア参加は大きいと思います。私の友人も本当に楽しそうに体験を語ってくれました」と身の回りでの例を挙げ、オリンピック・パラリンピックは他人事ではなく自分事として参加することが大切な記憶になると述べました。その一方で、大会招致の賛否含め様々な意見を持った人たちと会話をする際には、「『見る・支える』の最初の基本を正しく理解して、それについて議論を重ねること。こういう風土にしていくと、強くてやさしい個が生まれると思います。勝木副会長もおっしゃっていた『やさしい街』ということの一つは、お互いが理解をしたうえで議論を深めることだと思います」と指摘し、2030年は「心のレガシー」が生まれる大会になることを期待しました。


札幌大学 中田美知子客員教授 (写真:アフロスポーツ)


トークセッションの最後に「札幌開催がもたらすもの」について、中田さんは「1972年札幌オリンピックの後に世界各国を回った際、札幌という名前がすごく広がっていたことを知り、自分の自信につながりました。今回の札幌、ニセコもこれだけ評価をいただいていることを知れば自己肯定感につながり、自信を持てると思います。そうしたことが街で起これば素敵だなと思います」と話し、荒井さんも「オリンピック・パラリンピックで札幌も便利な街に変わると思います。ただ、大会を開催してからではなくて、今から少しずつバリアフリーの街に変わっていくのではないかと思っています」と未来への希望を描くコメント。小林選手は札幌2030大会へ向け「普段応援していただいている方々に近くでジャンプを見てもらえるので、いいジャンプをして恩返しをする場になればいいなと思います」と意気込みを述べました。



地元アスリートらによる招致応援宣言


次に各団体からの招致応援宣言が行われ、アスリートを代表して北京2022冬季オリンピックでTEAM JAPANの旗手を務めたスピードスケートの郷亜里砂さん、カーリングの伊藤彩未選手、田畑百葉選手、中島未琴選手が登壇。郷さんは「スポーツを通してオリンピックでも本当にたくさんの感動が生まれ、皆さんからの応援がアスリートの背中を押してくれています。2030年は私も応援する立場として選手たちの後押しをしていきたいと思っています。ぜひオリンピックの感動を札幌で一緒に感じましょう」と呼びかけ、田畑選手も「私たちのチームは2026年、2030年のオリンピックで金メダルを目指すため、日々練習に励んでいます。8月から9月に開催される北海道カーリングツアーで優勝し、スポーツの街・札幌と、カーリング競技を皆さまにアピールしたいと思います」と力強く宣言しました。

また、札幌市のスポーツ少年団に所属するジュニアアスリートやプロスポーツチーム、市民団体、経済団体などの関係者も登壇し、それぞれ札幌2030大会招致に向けた応援宣言を行いました。


札幌2030大会招致に向けた応援宣言をするジュニアアスリート (写真:アフロスポーツ)


次に秋元克広札幌市長が登壇し、アスリート、子供たち、各団体からの応援宣言に対して感謝の言葉を述べると、「次の50年、100年に向けてのスタートの中に、この2030年札幌冬季オリンピック・パラリンピックを位置づけて、地域づくり、街づくり、人づくりといった未来につなぐ大会にしていきたいと思っています。ぜひ多くの皆さんとこの思いを共有し、国際交流も含めて平和の中でスポーツの最大の祭典を実現していく。札幌のみならず、北海道全域、そして日本全体にこの思いを運動として広げていきたいと思っています」と、札幌2030大会招致実現への抱負を述べました。


 最後に、北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック招致応援大使に就任したオリンピアンの原田雅彦さん、パラリンピアンの永瀬充さんと狩野亮さんが登壇。「皆さんの強い思い、未来を胸に札幌大会招致に向けて一生懸命頑張っていきます」(原田さん)、「パラリンピックを開催すれば社会は変わると、長野大会からの20年で私は実感してきました。ぜひ一緒に盛り上げていきましょう」(永瀬さん)、「札幌大会が開催されれば、その財産が50年後、100年後と多くの方々の中に残り、必ず良い社会・地域の実現につながっていくと思います。そのチャンスを地元に持ってきたい」(狩野さん)と、それぞれ決意表明を行い、原田さんの一本締めで総決起集会が締めくくられました。