写真:フォート・キシモト


 日本オリンピック委員会(JOC)が一般公募した「わたしと東京2020大会の思い出」メッセージのボランティア部門で最優秀賞に選ばれた武内一代さんにインタビューを実施。東京2020大会のボランティアに参加したきっかけや大会の思い出、ボランティア経験を通して感じた自国開催の良さ、また、北海道・札幌2030大会招致に期待することなどをお伺いしました。



今もボランティア同士でつながっている


 写真:フォート・キシモト


――本日はよろしくお願いいたします。まず、武内さんが担当されていたボランティアの内容から教えていただけますか?


はい。私は選手村のフリートドライバーを担当していました。各国・地域のオリンピック委員会の方たちに貸し出されている車を私たちが代わりに運転して、行きたい場所まで乗せていくボランティアをしていました。パラリンピックの時は選手をお乗せする機会もありましたので、例えば車いすのまま乗せることができる車両も扱えるように教えていただいて、車いすの選手をそのままお乗せしてということもありました。


――東京2020大会を改めて振り返って、一番思い出に残っていることは何でしょうか?


やはり、今回の「わたしと東京2020大会の思い出」メッセージでも書かせていただいた内容になるのですが、パラリンピックで戦火のアフガニスタンから来られた選手を車に乗せた時のことです。無事にパラリンピックに参加することができて良かったという気持ちがありましたし、その選手が車内でもすごく嬉しそうにしていた姿を見ることができたことが私としてもすごく嬉しかったですね。


写真:フォート・キシモト

 

――東京2020大会のボランティアになぜ参加しようと思ったのでしょうか?


今までスポーツボランティアには携わったことがなかったのですが、私の主人が転勤族でたまたま東京に来ることになった直後に東京2020大会のボランティアの募集があったんです。それを見て「これはきっと何かの縁だ!」と思って応募しました。それがきっかけでしたね。


――スポーツ以外では何かボランティア活動をしていたのでしょうか?


いえ、それも全くありませんでした。ボランティア自体も初めてでした。


――ということは、まさに運命的な何かを感じたというわけですね。


もう、自分が今東京にいるならこれはやるべきだろう!と思って(笑)


――オリンピック、パラリンピックを通じてのボランティア活動でしたので、大会には長期間携わっていたと思います。その経験から感じたオリンピック・パラリンピック自国開催の良さというものを教えてください。


やはり、日本人のおもてなしの心を各国・地域の方にお伝えできる良い場だと思いました。もちろん、私が担当したボランティア活動はごく一部のものですので、オリンピック・パラリンピック全体のことについてはよく分からないところもありますが、一つひとつの小さなことでも日本人の繊細なおもてなしというものがお伝えできる場だったのではないかなと思います。


――東京2020大会のボランティアに参加して一番良かったなと思うところは何でしょか?


全部が良い思い出だったなと思っているのですが(笑)、何よりも普通に生活していただけでは絶対に関わらないような人たちと出会えたことですね。これは思い出ではなく、今も続いている関係ですので、そうした方たちとの出会いはすごく大きかったですね。


――今も続いている関係ということは、知り合ったボランティアさん同士でずっと連絡を取り合っているのでしょうか?


一部の方同士で会える時に会ったりしていますし、それこそ100人単位のLINEグループもあるんですよ。その中で「こういうイベントがあるんですけど行きませんか?」という連絡があって集まったりなどしていますね。今日(11月20日)も江の島の方に行っているグループもあるみたいです(笑)。そういった形でちょこちょこと行事を作って、行ける時は参加してという感じで集まっています。また、先日も「東京マラソンのボランティアをグループで参加してみませんか?」というお声がけもしていただくなど、今もずっとつながっています。


――それは素敵な関係ですね。そこでしか出会えない仲間というのはやはりかけがえのないものだと思います。


はい、そうですよね。今後もずっとつながり続けていくのだろうなと思います。



北海道・札幌2030大会でもボランティアができれば


写真:フォート・キシモト 


――では、北海道・札幌2030大会についてもお聞きしていきたいと思います。北海道・札幌2030大会の招致活動についてはどのように思っていますか?


ぜひ招致を頑張っていただきたいなと思っていますし、あわよくばボランティアで行きたいなと思っています。ですので、今度は主人が北海道に転勤にならないかなという思いがちょっとあります(笑)


――なるほど(笑)。もし北海道・札幌2030大会の開催が決まったら、またボランティアで参加してみたいということですね。


はい、ボランティアに行ければ行きたいなと思っています。もう7、8年後ですよね。できればぜひボランティアで行きたいなと思いつつ、北海道の冬の寒さというものを全然分かっていないので、ちょっと不安もあります(笑)


――今から北海道の寒さを予習しないといけないですね(笑)。では、東京2020大会にボランティアとして参加した武内さんとしては、北海道・札幌2030大会はどのような大会になってほしいでしょうか?


日本の選手が大活躍してほしいと思いますし、東京2020大会が無観客開催ということもありましたので、次は有観客で開催していただいて、それを見た若い世代の人たちが「このスポーツをやってみたい」と思うようなきっかけの場を作っていただければなと思います。


――それでは最後になりますが、東京2020大会のボランティアさんたちの活躍を見て、次は自分もやってみたいと思った方たち、特に若い世代の方もたくさんいたと思います。そうした思いを持つ方たちへ向けたメッセージをお願いします。


私が感じたように、普段の生活では出会えない人たちとの出会いというものはかけがえのないものです。同じ思いで同じ時間を共有できる人たちとは、やはり心が通じ合えるので良い仲間になりますし、間近とまではいかないかもしれませんが、オリンピアン・パラリンピアンの方たちと一緒に盛り上がりを感じることができる場ですので、不安はあると思うのですが、思い切って参加してみるということはとても良いことだと思います。


――ちなみに、今日の「わたしと東京2020大会の思い出」の表彰式にはお子さんも一緒にいらしていましたが、北海道・札幌2030大会で一緒にボランティアということは?


そうですねぇ、あんまり興味がないかもしれないです(笑)。でも、先日の横浜マラソンで初めてボランティアに連れて行ったのですが、なんだかんだブツブツ言いながらも楽しんではいましたね。強制はしませんが、ボランティアをやりたいなと思ったときにやってもらえたらいいなと思いますし、ボランティアの経験を一度して、どういったものなのかを本人も分かるようになったと思いますので、あとは本人次第ですかね(笑)


――ぜひ2030年にはボランティアとして北海道・札幌2030大会での親子での活躍を期待しております。


そうですね。子供がそういった気持ちになってくれれば、それはそれで嬉しいことだと思いますね(笑)