写真:アフロスポーツ


スケルトンで2018年平昌冬季オリンピックに出場した北海道・札幌市出身の宮嶋克幸さんにインタビュー。オリンピックの思い出や、オリンピックを通して学んだこと・次世代に伝えたいこと、そして北海道・札幌2030冬季大会の招致に期待していることなどについてお聞きしました。



オリンピックは「挑戦」


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――それではまず、競技を始めたきっかけを教えてください。


バンクーバーオリンピックでスケルトンの越和宏さんが45歳にして出場している姿を見て、すごく楽しそうだなと思ったのがきっかけでした。でも、スケルトンの始め方が分からなくて(苦笑)。そうした時に、ちょうどスケルトンのタレント発掘事業で選手を募集している記事が新聞に掲載されていて、僕が「楽しそう」って言っていたのを覚えていた両親がそれを勧めてくれたのが最初のスタートでしたね。当時は中学校3年生でした。


――出場された平昌オリンピックを改めて振り返って、一番思い出に残っていることは何でしょうか?


平昌大会は「挑戦した」ということが思い出に残っています。スケルトンを滑る際のセッティングに関しても、安全なセッティングというよりはタイムが出るか失敗するかというギリギリのところにセッティングをして、一つでも上の順位を狙おうという取り組みをしました。結局は少し失敗してしまったのですが、挑戦をしたということで自分の中でやり切ったという思い出が残っています。


――平昌大会以前にもたくさんの国際大会に出場されていたと思いますが、オリンピックが他の大会と違ったところ、あるいはオリンピックならではだと感じたところなど印象に残っていることがあれば教えてください。


そうですね、食堂などに行くと金メダリストが同じテーブルや隣でご飯を食べていたり、「あれ? テレビで見たことある選手がいるぞ」と思ったり(笑)、本当に周りはすごい人たちばかりでした。そのすごい選手たちと何も気にせずに一緒に食事やリラックスルームでテレビを見たりしたことで、自分は今本当にすごい場所にいるんだなと思ったことが印象に残っています。


――オリンピックに参加したことを通して学んだこと、新たな気づき、今の人生に生かされていることなどはありますか?


舞台に関係なく、これまでやってきたことを発揮する難しさというのを改めて学びました。今、自分が携わっている仕事などでもそうなのですが、100%のパフォーマンスを発揮するためにどうすればいいのかと考える際、現役時代からいろいろなパターンを考えながらやっていたのですが、それが今の仕事などでも生きているのかなと思いますね。


――宮嶋さんがそうしてオリンピックやスポーツを通じて学んだことも踏まえ、次世代の選手、あるいは子供たちに伝えたいことは何でしょうか?


オリンピックなどの大会ですと何か一つのことに取り組んできた結果というイメージがあるかもしれませんが、実は本当にいろいろなことに取り組んだ結果がオリンピックにつながっていると思っています。ですから、「これがあるからいいんだよ」と一つだけに絞るのではなく、「これがいいよ」というものを複数作っていってほしいなと思います。そうすることで様々な気づきが得られていくのではと思っています。



オリンピック・パラリンピックを通してみんなの笑顔があふれる街に


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――では、ここからは北海道・札幌2030大会についてお伺いします。大会招致活動に関してはどのように思っていますか?


僕はもう「ありがたいな」という思いがすごく強いですね。少しでも協力できることがあればやっていきたいと思っています。


――宮嶋さんは札幌市出身ということですが、生まれ育った札幌で前回の1972年札幌オリンピックのレガシーや名残を感じた経験などはありますか?


僕は大倉山ジャンプ競技場の近くの小学校、中学校に通っていたのですが、小学校の校歌に五輪という歌詞が入っていたので、そのころからオリンピックというものを身近に感じていました。また、各競技場も近い場所にあったので、スキージャンプの大会もよく見に行っていましたし、ところどころでオリンピックというものを感じて過ごしていました。そのような環境でウインタースポーツがすごく身近にあったので、「オリンピックに行きたい」という思いはいつも心のどこかにありましたね。自分がそうして育ってきた札幌でまたオリンピック・パラリンピックが開催されるとしたら、本当に最高です(笑)


――それでは最後になりますが、北海道・札幌2030大会に期待していること、また、もし大会が開催されたらどのような札幌市になってほしいと期待していますか?


一番は札幌にたくさんの人が来て、札幌の魅力が伝わってくれたらいいなと思っています。また、スポーツだけではなく、食事も美味しいですし、雪まつりのような楽しいイベントもありますから、オリンピック・パラリンピックの開催を通して、みんなの笑顔であふれるような街になってくれたら一番いいなと思いますね。


――北海道・札幌2030大会が開催されたら、宮嶋さんはどのように関わっていきたいと思っていますか?


理想としてはコーチ、指導者のような形で選手のパフォーマンスのサポートをできればいいなと思います。




宮嶋克幸(みやじま・かつゆき)

スケルトンで2018年平昌冬季オリンピックに出場。