写真:アフロスポーツ


ソフトボールで東京2020大会に出場した山崎早紀さんにインタビュー。自国開催だった東京2020大会の思い出、東京2020大会を経験して感じたオリンピック・パラリンピックの自国開催の良さや意義、そして北海道・札幌2030冬季大会の招致に期待していることなどについてお聞きしました。



無事に終えられたのは皆さんの支えがあったから

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――本日はよろしくお願いいたします。まず、東京2020大会を振り返って、改めてどのような大会だったと感じていますか?


はい。自分たちが思い描いていたオリンピックの形ではなく、お客さんがいなかったですし、コロナ禍の中での開催でしたので、すごく制限がかかった大会だったのかなというのは正直に思いました。今までのオリンピックとは違う環境の中で、1年延期になり、またいつ中止になってもおかしくないような大会でしたので、それが無事に終えられたのは本当に皆さんの支えがあったからだと思っています。


――大会の延期が決まってからのモチベーションはどのように高めていったのでしょうか?


私たちソフトボール競技は、大会延期の発表直前に日本代表のメンバーが発表される予定だったのですが、それがすべて合宿も延期になってしまったので、日本代表に選んでもらえるかも分からない状況で1年を過ごしてきました。大会が本来開催されるはずだった2020年はほとんど活動もできない状況で、2020年11月に活動を再開するまではメンバーとも会えなかったので、ウェブ上のミーティングでお互いの顔を見たり、様子を確認するなどしていました。


――無観客開催の中、国民の皆さんの応援の声などはどのように届いていましたか?


実は選手村にはテレビがなくて、試合中は国民の皆さんの声というものはあまり分からなかったのですが、インターネットでの記事や動画を見て、すごく応援していただいているんだなというのが分かりました。現地ではスタンドから応援の声をあまり聞くことができなかったので、正直に言いますと少し寂しかったかなと思います。ただ、試合会場は関係者の方以外は立ち入り禁止でしたが、球場を出て、自分の携帯電話などで見るという形で国民の皆さんの応援の声は届きました。


――ほかの国際大会とは違うオリンピックならではという出来事、思い出などはありましたか?


東京2020大会ではソフトボール競技は最初に試合を開催させていただいたので、実は選手村にもあまりほかの競技の選手たちはいませんでした。入村開始の2日、3日後くらいに試合開始だったので、本当にまだ人がいないような選手村を体験できたのは貴重だったかもしれないです(笑)。


――それはある意味、珍しい体験だったかもしれないですね。では、オリンピックだからこその重みというものは何か感じましたか?


私たちソフトボールはオリンピックでずっと競技が開催されていたわけではなく、2008年北京大会以来13年ぶりの開催で連覇がかかるという、4年に1度ではない中でも皆さんの期待が大きかったので本当にありがたいなと思っていました。試合は野球場で行われたのですが、オリンピックシンボルがあったり、周りのすべてがオリンピック仕様にもなっていましたので、その球場の様子を見て「オリンピックが始まるんだ」と実感を持てましたね。



札幌では制限のない環境で大会が開催されてほしい

 

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――東京2020大会を経験されて、オリンピック・パラリンピックの自国開催の良さ、意義についてはどのように思っていますか?


そうですね、無観客ではありましたが、国民の皆さんが見てくれているような感じがしました。また、現地にお客さんが来られなくても、ボランティアの方が日本語で「頑張って!」と言っていただいたその一言で、私たちはすごく頑張れたのかなと思っています。


――今、再び日本でのオリンピック・パラリンピック開催に向けて北海道・札幌2030大会の招致活動をしていますが、どのような感想を持っていますか?


もし招致できたら、また日本がすごく盛り上がるのではないかなと思います。それに2030年には東京2020大会よりもコロナが落ち着いて、観客も来ていただけるなど制限がなく大会が開催されてほしいなと思います。東京2020大会に行くことができなかった人もたくさんいると思いますが、2030年には見に行くことができる環境が整うと思いますので、東京2020大会に行けなかった人にもたくさん見に行ってほしいなと思っています。


――それでは最後に、大会を通しての札幌の街づくりや次世代の育成なども含めて北海道・札幌2030大会に期待することをお聞かせください。


はい。私たち選手はスポーツを通じて感動や勇気を届けられることが唯一できることだと思っていますので、北海道・札幌2030大会に出場する選手たちのプレーを見て、頑張ろうという気持ちや諦めない気持ちを応援に来ていただいた皆さんに感じ取っていただけたらすごく嬉しいなと思います。




山崎早紀(やまざき・さき)

ソフトボールで東京2020大会に出場し金メダルを獲得。