写真:フォート・キシモト/JOC



■“支える人たち”の取り組みや考え、熱意を知ることができた

 

――ここで浅野さんにもいろいろとお話をお伺いしたいと思います。まずは簡単な自己紹介と、どのような活動をされているのか、また招致スローガンワーキンググループに参加を決めたきっかけ、スローガン策定の感想などを教えてください。

 

浅野 はい、よろしくお願いします。浅野柊と申します。まず、僕が参加している2030年冬季オリンピック・パラリンピック学生ワークショップに関してですが、僕が今いる札幌医大で第1回目が開催されたものでして、ちょうどウチの研究室の先生方がオリンピック選手のトレーナー部門の先生をやっています。その先生から「ぜひやってみないか」とお話をいただいたのですが、僕自身も将来的にオリンピック選手のトレーナーを考えていまして、今後、選手に帯同できればいいなと考えていたのでお話を受けさせていただきました。学生ワークショップでは、基本的にはウチの大学のほかの学部生の方とオリンピック・パラリンピックを開催する意義ですとか、オリンピック・パラリンピックに何を求めるのか、どんな大会にしたいかということをいろいろとディスカッションしていくという活動をしていました。今回招致スローガンのワーキンググループに参加したことで、普段はあまりお話をすることがない立場の方たちと共通のオリンピック・パラリンピックについて話し合う機会があって、本当にいろいろな考え方を知ることができましたね。それこそ僕は理学療法士なので、その視点での考え方に凝り固まりがちなのですが、いろいろな視点を知ることができて良かったなと思っています。

 

――出来上がった招致スローガン『世界が驚く、冬にしよう。』に関しては、どのような感想をお持ちですか?

 

浅野 そうですね、短い言葉でシンプルであるのがいいところかなと思います。そして、そのシンプルな言葉の中にもいろいろな意味を込められたことが良かったと思うのと、『世界が驚く』という短いながらもインパクトのある良いスローガンになったのではないかと思います。

 

――浅野さんの周囲の反応はいかがでしょうか?

 

浅野 「分かりやすい」「かっこいいね」という反応がありました。あとはこのスローガンに加えて「キービジュアルがすごくいい」という意見が結構ありましたね。

 

――ワーキンググループに参加する前後で、オリンピック・パラリンピックや北海道・札幌のまちづくりに対しての気持ちの変化などはありましたか?

 

浅野 今もいろいろな選手を診させてはいただいているのですが、オリンピック・パラリンピックに対してはこれまで選手側からの関わりしかありませんでした。オリンピック・パラリンピックの開催を目指すその裏側で、こんなにいろいろな人が、いろいろな立場で、いろいろなことを考えているということが全然予想できていなかったので、選手だけではなくて、オリンピック・パラリンピックを支えていく人たちの取り組みや考え、熱意を知ることができたことはすごく僕自身にとって大きかったなと思っています。

 

写真:フォート・キシモト/JOC


■オリンピック・パラリンピックの魅力を一言で表すと?

 

――皆さんのような若者世代にとって、オリンピック・パラリンピックとはどのような印象でしょうか? または、これまでのオリンピック・パラリンピックで印象に残っている思い出があれば教えてください。

 

毛利 自分はサッカーをずっとやっていたので、U-23男子の試合はよく見ていました。あとは、東京2020大会でスケートボードやサーフィンが競技種目に入ってきたのは驚きでしたね。もちろん、面白いなと思って見ていましたが、逆にスポーツと言うよりもカルチャー的なもの、ストリート的なものも競技性が強くなってしまっているのがちょっとどうなのかなと思いつつ、でも楽しく見ていました。

 

鎌田 私は小学生のころに3年間卓球をやっていたので、卓球はよく見ていました。伊藤美誠選手らと同年代なので、頑張っている姿を見てすごくかっこいいなって思っていました。冬季で言うと、フィギュアスケートがすごく素敵な印象やパフォーマンスで、きれいだなって(笑)、よく見ていますね。また、両親もフィギュアスケートは割と見ていたので、一緒に見ていたという思い出があります。

 

浅野 メダルをとる・とらないに関わらず、いろいろな選手・競技を見ていたので、それぞれの印象があるのですが、オリンピック・パラリンピックのいいところは日本だけではなくて、ほかの国・地域同士の試合になってもかなり盛り上がるところだと思います。普段は見ない競技をたくさん見たり、日本だけではなくどこの国・地域が勝っても面白いですよね。僕は普段、野球をよく見ている割にファイターズしか応援していないところもあるのですが、オリンピック・パラリンピックになるとどの国・地域を応援しても面白いですし、その国・地域のスター選手たちが来るのでそれが面白いなと思います。

 

――それぞれ皆さんが思っているオリンピック・パラリンピックの面白さ、魅力があり、また今回のワーキンググループでの活動を通して、オリンピック・パラリンピックに対する新たな視点、考え方もできたと思います。そこで、もし北海道・札幌2030大会が開催されたら、どのような大会になってほしいですか? もしくは、自分がこういう大会にしていきたいという思いがありましたら教えてください。

 

鎌田 私はやはりオリンピック・パラリンピックに関心のない方にも興味を持ってもらえればいいなと思っています。賛否いろいろとあると思いますが、札幌、北海道が全体となって招致に向かって盛り上がって、みんなで『世界が驚く冬』を実現したいなと、強く思っています。

 

毛利 オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典ですが、そこにスポーツだけではなくていろいろな機能、分野、ジャンルがもっと関わってほしいという思いがあります。もちろん開会式、閉会式はこれまでも芸術や文化がいろいろと交わっていたと思うのですが、そこだけではなくて、もっとまち全体にスポーツだけではない芸術や文化、パフォーマンスをちりばめていくようなイメージができればと思っているので、僕がちりばめようかなとも思ったりしています(笑)

 

浅野 まずは札幌にオリンピック・パラリンピックを招致することに否定的な人たちもたくさんいると思いますが、2030年に招致開催することが決まったとしても、否定的な人たちは絶対にいると思うので、オリンピック・パラリンピックが終わった後に否定的な人たちが「やって良かったな」と思ってもらえるような大会が一番いいのではないかなと思います。また、スローガンに合わせれば『世界が驚く』ということで、まずは札幌の人たちが「やって良かったな」と思うことに加えて、世界の人たちが「今までで一番良いオリンピック・パラリンピックだったな」と思ってもらえるような大会ができたらいいなと思いますね。

 

――これまでの皆さんのお話を聞いて、若い世代のパワーやポジティブさをすごく感じましたし、皆さんのような若者世代が中心となって今後、北海道・札幌2030大会招致に関する取り組みにもっと加わっていただければ、きっと素敵な大会になると思います。では最後に、スローガン策定に携わった皆さんだからこそできる質問をさせていただきたいのですが、『北海道・札幌で開催されるオリンピック・パラリンピックの魅力』について、それぞれご自身の言葉で表現していただけますでしょうか。

 

浅野 僕から行きます。オリンピック・パラリンピックの魅力は『興奮と熱狂』ですね。オリンピック・パラリンピックを見ると、普段はあまりしゃべらない人でもこんなに吠えるんだ!ってくらい、すごいワクワクと感動があると思います。なので、『興奮と熱狂』でお願いします。

 

毛利 では僕も浅野さんに負けじと発表させていただきます(笑)。オリンピック・パラリンピックの魅力は『異空間』ですかね。やはりイベントというものは日常では味わえない非日常の空間を作り出すものだと思っているのですが、オリンピック・パラリンピックは非日常とかではなく、たぶんもっと次元が違うもので、それこそ『異空間』というイメージがあります。なので、全く別世界と言いますか、それがオリンピック・パラリンピックの醸し出す雰囲気、オーラ、魅力なのではないかなと思います。

 

鎌田 私は二人のようにそんなにかっこいいことは言えないんですけど(笑)、私が思うオリンピック・パラリンピックの魅力は『人とのつながり』だと思っています。私自身もワーキンググループを通して、普段は会えないような方たちとたくさんつながることができましたし、それこそオリンピック・パラリンピックをきっかけにした話題で話したりなどして、輪が広がっていくのではないかなと思います。そして、なんだかんだ、人とのつながりが何に対しても一番大切なことかなと私は思っているので、オリンピック・パラリンピックの魅力は『人とのつながり』と考えました。